皆さんは徳田虎雄という人をご存じでしょうか?猪瀬前都知事の5000万円献金疑惑事件と言えば思い出す人もいるでしょう。
そうです、その徳田虎雄さんです。
実は私、宮塚は今から丁度20年前にその徳田虎雄さんの漫画を描かせて頂きました。
新人漫画家として駆け出しの頃ですね、必至に描いてた覚えがあります。
(原作)前田和男、(絵)小川たけし←(現在 宮塚タケシ) |
『立志青雲編 明日はいい日だ(上)』 道出版〈徳田虎雄 第1巻〉、1997年11月。 『立志青雲編 明日はいい日だ(下)』 道出版〈徳田虎雄 第2巻〉、1997年11月。 |
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漫画「コミックス」の力を日本で始めて政治に活かしたのは徳田虎雄だった!
当時なぜ政治家が漫画なんかを?と思っていたのですが、徳田さんは先見の明がある人でマンガの力を政治力に活かした日本では最初の人だと思います。
取材して分かった徳田さんの人柄
当時徳之島まで漫画を描くにあたってとりあえず取材しなければなりませんでした。
始めて行った徳之島はすす汚れた東京に住んでる自分にとっては真逆の素晴らしい自然豊かな島でした。
こんなところで生まれ育った徳田虎雄という人はどんな人間なんだろうと、医療法人「徳洲会」の病院関係者や地元の政治家さんたちなどに色々質問し情報を集めました。
信念を貫く人ほどダーティなイメージも強くなる
驚いたことに聞く人聞く人ほとんどの人は徳田さんの良い面しか話しません。
そんなことがあってたまるか、これはおかしいと最初のころは眉唾で聞いていましたが取材を重ねて行けば行くほど徳田虎雄の凄さに驚かされて行きます。
現地の議員さんと居酒屋で取材中酒も入ってることだし、本音を聞き出してやろうと私はこんな質問をしました。
質問「徳田さんの欠点はなんですか?」
議員さん「・・・欠点・・・?う~ん・・・」
かなり困ったような顔をしてましたね(笑)
どんな人にも短所や欠点やコンプレックスはあるのが普通です。
でもそれを言わないというのは、あっても言いたくないし言えば尊敬してる人の陰口になるからということだと思います。
私はキャラ作りする時は、長所や欠点やコンプレックスや得意なことなどをキャラに設定していきます。
それがこの時は聞き出すことが出来なかったのでどうしようかと悩んだ覚えがあります。
猪瀬元都知事のことや選挙違反などなどマスコミは表面的な面ばかりを流すので、徳田さんはダーティなイメージがすっかり付いたようですが彼のそれまでの強烈で凄まじい生き様を知れば見方が変わるはずです。
当時の医療機関というのは今から思い起こせば異様な世界だったように思います。
その異様な医療の世界を根本から変えなければと起ち上がったのが徳田さんでした。
それにはまず阪大医学部に受かるために猛勉強することになります。(2浪してます)
人生の転機は弟の死
トラオは徳之島で生まれ、型破りの父親に育てられすくすく育っていましたが、ある日弟が病気になります。
トラオはすぐに村の医者の所まで裸足で駆けつけますが、医者は夜中と言うことと貧乏人を見下す態度をとりトラオを足蹴にします。
トラオはなすすべもなく肩を落としながら家へ戻りますが・・・
結局弟は翌朝までには亡くなってしまいます。
医者が馬に乗ってゆっくりと現れたのは、弟が死んだ後でした。
漫画の台詞には
医者「あー、遅かったか・・・」
トラオはその一言で医者への怒りと不信感と悲しさで一杯になり、医者になる決意をすることになります。
医者の怠慢と傲慢のせいで処置が遅れ死んでいった事がトラオの人生を変えたわけです。
その悔しさをバネに医療改革の道へ進むわけですが、そのトラオが阪大に受かるまでの話を私が上下巻で描かせて頂きました。
漫画の中でもトラオのモットーが「年中無休」「24時間オープン」「患者から医師へのお礼の廃止」でした。
昭和の時代は医者は先生”様”で、良い治療を受けさせたいがために家族はお金や物品を医者達に渡していましたね。
「年中無休」「24時間オープン」「患者から医師へのお礼の廃止」をモットーに、僻地や離島でも充実した医療を受けられるようにするために、絶大な力を誇る日本医師会と正面から闘い、医療法人「徳洲会」を日本屈指の民間医療機関に成長させた。
彼は、日本の医療体制を変えるには、政治力が必要であることを痛感し、自ら衆議院議員となり4期務めた。しかし、進行性の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」という不治の病に冒され、やむなく議員を辞した。(Amazonレビューより引用)
実際に合った時の印象
当時、徳田さんは選挙のことで非常に忙しくされていて、打合せをしようにもなかなかお会いできない事が普通でした。
事務所の待合室で1時間くらい待たされるなんてよくありました。
こっちは編集長と原作担当者・・・ そして漫画家の私といつも3人で時間を指定してもらい行くのですが待たされなかったことは一度もないです。それほど忙しくしてました。
取材を終えてやっと会えた時、私はこう言いました。
「現地の皆さん達がみんないい人達ばかりで ~ よくして頂きありがとうございました。」と。
すると徳田さんからは意外な言葉が・・・!
「うちのもんたちに悪い奴なんかおらん!」と一喝されビックリしましたね^^;
その後ご本人の口から、「どうも忙しすぎていらつくことが多くていかんな」と。
ぼそっと言ってたことを覚えています。つまり「だから勘弁してな」と言う意味なんだろうなと(笑)
その時はお昼に出前のざるそばをご馳走してくれたんですが、そこのそば屋の卵が普通の鶏卵だったのにもビックリw
ふつうウズラの卵とかでは?^^;
なつかしい想い出の一つとなりました。
現在の徳田さんは?
ALSという難病に冒され体が動かせない状況だと言うことです。
ALSとは身体を動かす神経系が壊れ、全身の筋肉が縮んでいく難病で現代医学では完治不能と言われています。
私に一喝をくれた面影はもうありませんが、せめて長生きしていただけらと思います。
しかし同じ病のスティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士も未だに活躍されてますからね。
※(2018年3月14日、76歳で死去されました)
目さえ動けば意思を伝えることは出来るので、どんどん情報発信をして頂けたらと思います。
徳田さんのノンフィクション漫画を読んでもらいたいのですが、すでに絶版状態です。
でもAmazonでは中古としてまだ売られていました。
こちらは気鋭のジャーナリスト・青木理氏が書いたノンフィクションです。
(出典:「トラオ」読書後のレビュー、YouTubeより)
コミックス上下巻の効果
コミックス上下巻は当時、新宿紀伊國屋で売上TOPに躍り出た週もあったほど売れました。
- ・知名度の拡散
- ・印税収入
- ・イメージ戦略&ブランディング
- ・票の獲得
と余すことなく漫画の力を効率よくつかった上手い戦略といえるでしょう。
え? 私の印税ですか?・・・「0円」です(汗
まぁ、泳げ鯛焼きくんの漫画バージョンだと思ってください(笑)
当時描いた背景の一部
徳田さんが子供時代の徳之島の民家はこんな感じの、茅葺き屋根が多かったらしくこちらとしても描き甲斐がありましたね。
写真も当時はデジタルでは無かったので、フィルムも沢山買って撮りまくりました。
まとめ
徳田さんのように賢く漫画でアピールすると非常に楽ですし、漫画なら読んでみるかと人の話を聞かない若者まで取り込めます。
活字だらけだと読みたくないという人は結構います。
しかし漫画なら読んでくれる人が沢山います、漫画ならではのわかりやすさと絵というインパクトがそうさせているわけです。
感情移入さえしてしまえば最後まで読んでくれます。
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